妖怪「金霊」とは?最も家に来てほしい妖怪であることは間違いない

「金霊」は富を与えてくれる、ありがたーい妖怪です。家に来てほしくない妖怪はたくさんいますが、この「金霊」は家に来てほしい妖怪ナンバーワン!しかしただの気まぐれで家に来るのではないようで・・・。いったいどのような妖怪なのでしょうか?

妖怪「金霊」とは

金霊(かねだま、かなだま)は、日本に伝わる金の精霊、または金の気のことです。金霊が訪れた家は栄えると言われており、福の神のような妖怪だといえます。

「金霊」の伝説

鳥山石燕による『今昔画図続百鬼』の中には、善い行ないをしている家に金霊が現れて、土蔵が大判小判であふれる様子が描かれています。

その解説文には、「金だまは金気也 唐詩に 不貪夜識金銀気といへり 又論語にも富貴在天(ふうきてんにあり)と見えたり 人善事を成せば天より福をあたふる事 必然の理也」と書かれており、

これによるとつまり、実際に金霊という妖怪が家に現れるのではなく、金霊の話は無欲善行の者に福が訪れることの象徴だと言えるようですね。

また、江戸時代にはいくつかの草双紙にも空を飛ぶ金銭が金霊として描かれています。1803年の山東京伝による草双紙『怪談摸摸夢字彙』の中では、正直者の家に飛び込んできますが、その人が欲に溺れてしまうと去っていくものとされています。

昭和以降の文献によると、金霊が訪れた家は栄えますが、金霊が去って行くと家も滅びると解釈されています。ちなみに漫画家の水木しげる氏は実際に幼い頃、金霊を見たということです。水木氏が見た金霊の姿は、轟音をあげて空を飛ぶ巨大な十円玉のようなものだったそうですよ。

「金玉」との違い

怪火や火の玉である「金玉」と「金霊」は、訪れた家を栄えさせるという共通点があるので似ている点も多いのですが、一般的には違うものとされています。

「金霊」が妖怪または金銭の姿であるのに対して「金玉」は火の玉です。

金玉には数々の民間伝承があって、東京都足立区では轟音と共に家へ落ちてくるといわれており、千葉県八街市では黄色い光の玉となって飛んで来たといわれています。

遡って、江戸時代に書かれた奇談集『兎園小説』には、1825年の千葉県での逸話が掲載されています。

それによると、ある農民が農作業に取り掛かろうとしていたところ、雷鳴のような音と共に光り輝く卵のようなものが飛来。彼はそれを家を持ち帰って秘蔵の宝としたということです。この『兎園小説』では「金玉」ではなく「金霊」の名で語られているため、この伝承が金霊の例えとして出てくる場合があるようです。

また、この話を読むと金玉はいわゆる「隕石」なのではないか?という疑問が出てきますよね。研究者によるとやはりこれは隕石だったのではないか、という説もあります。東京都町田市のある家では、文化・文政時代に落ちてきたといわれる「カネダマ」がいまだに祀られていますが、これはおそらく隕石ではないかと言われています。

現代の「金霊」

金霊は、昔からの言い伝え通りの福の神的なキャラクター性を持つだけでなく、現代のアニメや特撮ヒーローものなどでは金への欲望を象徴したキャラクターとして描かれる場合もあります。

アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」では鬼太郎を助ける役として登場し、「超人ビビューン」「忍者戦隊カクレンジャー」では妖怪「カネダマ」として登場していますよ。

まとめ

いかがでしたか?「金霊」は、貧乏神の逆バージョンとも言える、いわゆる座敷童のような妖怪ですが、その見た目やキャラクターは時代によっても異なるようです。金玉と混合されることも多いようですがちょっと違うこともわかりました。それにしても私の家にもぜひぜひ来てほしいものです!!!(善行をしているハズなのになかなか来ないな・・・)

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